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2013年12月 1日 (日)

ドコモのMVNOの値下げや改訂から感じた事

MVNOの料金体系は、元々はMNO(キャリア)の料金体系の隙を突く形がほとんどでした。格安だけど通信速度は遅い、通信料辺りの価格に見直すと実は割高、でも7GB/月も使わないから結果的に安上がりといった感じです。キャリアが実質意味の無い2段階プランと7GBまでの完全定額しか提供しない(ドコモには一応フラットのライトプランもありますが)ので、MVNOのビジネスチャンスがそこに有ったわけです。

しかし2014年を前にして風向きがだいぶ変ってきました。ポイントは2点で、キャリアサービスとも競合しやすい高速系サービスのコストパフォーマンスの向上と、定期契約の排除です。例えばiijmioのライトスタートプランは2012年11月のサービス開始当初は1GB/月の高速通信で1974円/月でしたが、2013年4月には料金据え置きで2GB/月の高速通信に対応、2013年9月には1596円/月まで値下げしました。1年も経たない間に通信量辺りのコストは半額以下になっています。2年契約が必要だったBIGLOBE LTEも2013/11から定期契約を廃止し、従来1980円/月で1GB/月まで高速通信が可能だったライトSプランは1580円/月に値下げした上で2GB/月まで高速通信が可能となっています。新規参入組ではUSENから独立したベンチャー企業で有るU-NEXTの子会社U-MOBILE(面倒…w)が、高速通信が3GB/月まで1764円/月のUmobile*dスタンダードプラン、1GBまで714円/月、3GBまで2070円/月という2段階定額のダブルフィックスプランを開始していて定期契約は不要です。IIJmioとUmobile*dではSMSオプションも提供されていて、MNOであるドコモ契約により近い使い方も可能になっています。

これらMVNOサービスはコストパフォーマンスが向上するだけで無く、スマホやモバイルルーターのライトユースはほぼ問題無くカバーできるようになった点が大きなポイント。Androidスマホに直差しで使うならアプリの自動アップデートをWiFi接続時のみにする程度で2GB/月あれば大抵のユーザーをカバーできるはず。モバイルルーターも日々では無いけれど出先でノートPCからインターネット接続を使う事もある、といったユーザーには十分。単純にコストパフォーマンスという点でもXiデータプランフラットにねんが5985円/月で7GB/月で1GB/855円ですから先に上げたサービスは全てコレを下回ります。元々5~7GB/月の高速通信を許容するMVNOサービスは1GB辺りの料金では下回っていましたが、ライトユース向けでも実現されたのは大きい。もうニッチ向けのサービスでは無くなったとも言えます。

また定期契約が不要の方向に向かっているのも、MVNOにおいては競争原理が正しく機能しているという事でしょう。MVNOはキャリアのように新規契約のために多大なコストを掛けていませんから、短期解約が発生してもほとんどの場合赤字にはなりません。また大規模事業者がMVNEとしてドコモと自由度の高いレイヤー2接続を行い多数の中小MVNO事業者にサービスを再販する形になりつつあるので、結果としてMVNEは多くのユーザーを抱える事で多少ユーザーが流動しても収支への影響が少なくなっているといった傾向もあると思います。規模の小さな事業者がドコモと直接接続すると、ユーザー数に応じて細かくドコモとの接続速度をコントロールするしないと収支にもユーザーへ提供できる通信速度に影響が大きくなりますが、大規模なMVNEが存在すればこれらの許容を大きくできるからです。

何せドコモとのレイヤー2(GTP)での接続料金は2012年度で10Mbps辺り2,946,478円/月(リンク先PDFです)ですから、まさしく規模のビジネスであり、より多くのユーザーで広い帯域を分け合う事がより快適なサービスを提供する事に繋がります。仮にこの10Mbps辺りの原価を世に言う980円SIMで分け合うと約3000ユーザーが必要で、通信速度を分け合うとユーザー辺りの帯域は3.3Kbpsしかないわけです。原価をサービス料金で割った場合ですから、MVNOが利益を出そうとすれば最低でも1.5倍や2倍のユーザー数は必要でしょう。980円/月で128Kbpsのサービスでもどれだけ大変かという事が分かります。

ちなみに2011年度はレイヤー2接続で10Mbps辺り4,843,682円/月でしたから、1年で約39%も接続料金が下がった事になります。ドコモがレイヤー2でのMVNO提供を開始してから毎年の値下がり幅は概ね変っていません。ちなみにドコモの場合MVNOとの接続料金は前年度実績を元に決定され、年度の終了時に本年度の実績で精算されます。2012年度の実績は2013/5/15に公開されていますから、ここ数ヶ月のMVNOの動きが必ずしもドコモとの接続料の値下げに伴う物とは思えませんが、競争原理と同時に接続料の値下がりを見越した動きだとは言えそうです。

このようにMVNOとの接続料は下がっていますから、キャリアにおける通信コストも下がっています。もちろんドコモを含め3大キャリアはLTEへの移行過渡期ですから一時的な設備投資費用は尋常では無いと思いますが、これはMVNOへの接続料金にも設備利用料金として反映されていますし、元々何年もかけて償却すべき設備投資です。しかし3大キャリアのパケット定額料金は下がるどころかLTEになってフラット定額の場合には525円/月値上げしたまま。ちなみにドコモがレイヤー2接続を開始した2009年は10Mbps辺り12,671,760円/月ですから、2012年度に比較して約4.3倍の接続料金でした。しかしドコモは2009年にはFOMAで定額データスタンダード割を開始していて、2年契約で途中解約には高額な契約解除料金が有るとはいえ、料金は既に上限5985円/月でした。レイヤー2接続の料金がきちんと原価に伴う物と仮定すれば、ドコモはパケット通信の原価が1/4以下になっているにも関わらず、自社のパケット定額料金はほとんど下げていないという事になります。もちろんLTEに対応する事で1ユーザー辺りのトラフィックは増えていると思いますが、今のパケット定額料金が到底適切とは思えないのも事実です。

キャリアの企業評価に直結するARPを下げたくない、家が下げればあっちも下げるからやらない、という間違った競争原理なども思い切り働いているのでしょう。また年々高価格になるスマートフォンを2年間の割引とセットで実質安く提供するための原資の確保の意味合いもあるでしょう。でもこれって一度は総務省が規制した1円携帯の原資が基本料金や通話料が転嫁されていたのに対して、今度はパケット定額料金に転嫁されてるだけですね。まぁ今に始まった事では無いですけども。

もちろんキャリアの事情も分かります。音声トラフィックは下降の一途で、収益をパケット通信料金で補うしか有りません。通話料金もキャリア間の接続料金が下降の一途の割に下がりませんが、これはキャリア内通話無料サービスの影響もあるでしょうし、今更通話料金を下げてユーザーが爆発的に増える事なんでどのキャリアでも有りえません。そりゃ一定の揺り戻しはあるでしょうけど、音声通話はキャリア内以外では接続料が必ず発生しますから、値下げはダイレクトに収支の悪化に繋がります。またユーザーサポートというユーザーには目に見えにくいコストもあるでしょう。特にスマホ時代になってからはキャリアショップでも電話窓口でもコスト増加の一途かと思います。ドコモというキャリアはこの部分に期待されているキャリアだって事も重々分かっているでしょうから、ここは手を抜けない。キャリアショップの店員の質はまぁ全般に下がっているというか、スマホ時代に対応できていないみたいですけどもw。

つまりキャリアはMVNOの用にただの土管屋ではなく付加価値サービスも求められている以上、今のパケット定額料金は是が非でも維持したいでしょうし、この点はどのキャリアも同じでしょう。だから何処も手を付けない。ただそれならそれで、もう少しパケット定額のバリエーションを増やすなり、現行料金内でのデータ通信量の増加位はやってもいいのではないでしょうかね。MVNOより付加価値の分は割高でもいいんです。前者は一時的にARPに影響を与えるかも知れませんが、新しいユーザー層も獲得できると思います。Xiデータプランライトがいつ終わるかも解らないキャンペーンで3980円/月ならXiパケ・ホーダイライトも3980円/月でいいじゃないですか。1050円だけ安いXiパケ・ホーダイライトで高速データ通信量が4GBも減るのなら、1050円高いXiパケ・ホーダイマックスでも設定して+1050円で4GB位高速データ通信量増やしてもいいじゃないですか。容量追加も1GB/2625円とか根拠の解らない金額じゃ無くて1GB/1050円でいいじゃないですか。それで損をするとは到底思えないのですけどね。だってうまくやれば新規契約獲得にコスト抜きに収益上がるんですよ。1GB/2625円の容量追加がもの凄く儲かっている商材になっているんだったらまぁ話も違うのかなと思いますけども。

ま、こんな事は中の人達はいやという程解っているんでしょうけども:)。でもドコモが他がやらないからやらないなら禿と同じですよほんとに。

こんな事を書いている本人は毎月1000円以下で運用できるXiデータプランフラットにねん回線を2つ持ってたりもしますw。月々サポートが3000円余裕で超える回線なので、プラスXi割を使うとそういう事になります。さりとてこの2回線も割引の終わる2年が過ぎれば素直に解約して、MVNOに移れそうです。まぁMVNOはMVNOで速度低下の要因がキャリア契約よりも増えるのですが、このまま定期契約無しが主流になればMVNO内で乗り換えていけば良いだけ。そりゃドコモで良い案件があればまたお世話になりますけどね、今の姿勢を改めないキャリアに少しでも赤字をもたらせるようにw。

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