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2014年6月29日 (日)

総務省がSIMロック解除の義務付けを検討の報道で少し考えた

総務省がキャリアの販売する端末のSIMロックフリー化を義務づける方向で動いているというニュースが流れている。過去にもそういう話はなんどか出ていたが、スマホの普及が進む事でキャリアサービスの独自性も端末ハードウェアとの結びつきが弱くなっているので、総務省も好機と見ているのかも知れない。

とはいえSIMロックフリー化の義務づけも、ユーザーがキャリアを変更する流動性をどこまで後押しできるかは結構疑問が残る。

1.各キャリアの使用する周波数帯と端末側の対応の問題と、その周知度
2.サービスと端末のキャリアが異なる場合のサポートの問題
3.今もって重要視されるキャリアメールの問題
4.高価な端末を分割払いでの購入が当たり前になっていて、ユーザーの流動性を阻害している問題

パッと考えても大きく4つの課題がある。

1はLTEを基準に考えると、グローバルバンドのバンド1(2GHz帯)は3キャリアとも使っている。但しauはメインバンドでなく、帯域を補う為という傾向が強い。市町村で言うと町の主要区域まではバンド1のエリアを広げても、ルーラルエリアまではやらないだろう。auにとっては必要性が無いからだ。またバンド1がメインのドコモもルーラルエリアではバンド19(800MHz帯)のみのエリアが結構有る。ドコモにしてみれば後1~2年で自社ブランド端末でバンド19非対応の端末はほとんど稼働しなくなるだろうから、無理にバンド1でカバーする必要は無い。

ところが3キャリアのLTE端末が全てカバーしているのはバンド1のみ。ドコモとSBM(正確には傘下のEMOBILE)はバンド3(1.7GHz帯)も共通だが、どちらもメインバンドではない。3キャリアとも世間で言うプラチナバンドの800~900MHz帯を持っているが、LTEでは全部別バンド扱いで各キャリアの端末は自社のバンドしかほぼサポートしていない。例外は全世界を3モデル位でカバーしているiPhone位。もちろん3キャリアでの利用を意識した端末を各社が出すのが理想だけど、そんなものはキャリアにとってマイナス材料しかないから、総務省からの強制でも無い限りあり得ない。今だってドコモ端末だと自社のMVNO SIMでのテザリングの問題すら抱えているのだけど、これを是正するメリットはドコモには無い。

そして一番の問題はその周知レベル。ケータイユーザーのほとんどは自分の端末がどの周波数帯をサポートしているのかなんて知らないし、実際知る必要もほとんど無い。この点に関しては今のキャリアショップの店員だって50歩100歩だろう。SBMのユーザーがドコモの方がエリアが広いから、とSBM端末にドコモSIMで使い始めて、ルーラルエリアに行くと実はドコモはバンド18のみでSBM端末は圏外、SBMのバンド1ならエリア内なのに、って事になる。実の所SBMはルーラルの整備もバンド1で結構やっているので、バンド1だけならSBMの方がエリアカバレッジが広いなんて地域もある。

2も一般の人には大きな問題だろう。他社端末にSIMを差し替えてそのまま使えるのは基本音声通話とSMSのみ。データ通信はAPNの設定をしないと使えない。まぁAPNの設定はポートインする側のキャリアで情報提供はするだろうし、設定もしてくれるかもしれないが。後端末が故障した場合の問題もある。端末自体はキャリアでは無く別のメーカーが製造しているが、メーカーは基本直接の窓口は持っていない。あくまでキャリアが全ての窓口で、普通に考えれば端末の修理は購入した時のキャリア経由になる。調子が悪い時にSIMやネットワークが起因かどうかはサービスを契約中のキャリアに相談し、端末が起因かどうかは端末を購入したキャリアに相談する。後者ははっきりいっていい顔はしないだろう。窓口では端末メーカーにぶん投げるだけかもしれないし、受け付けるだけでも無料にはならないかも知れない。この辺は切り分けと指導を総務省がしっかりやらないと大きな問題になる気がする。

3はそもそも現状では自社端末にしかSPモード、LTEネット、S!ベーシックなどのISPサービスが提供されていないので、何らかの解決策が必要な問題だ。iPhoneのおかげで3キャリアともIMAPベースへの移行はできているから、後は通知なりなんなりをクリアすれば最悪リアルタイムで受信通知だけは別キャリアの端末でも使えるって事になるだろう。まぁそれよりもMMSサポートの義務化とSMSの無料化(少なくとも音声定額とセットなら無理は無いと思う)の方が実効性は高いと思うのだけども。本当に流動性があがるなら、固定ISPみたいにキャリアメールアドレスだけ提供するようなサービスも成立するとは思う、あくまで他社で契約がある場合に限定しないと問題も多いとは思うが。

4の問題も大きい。5万円と9万円の端末が、分割で買うと実質価格がさほど変わらないなんて販売をしているから、必要が無くても9万円の端末を分割で買ってしまう事は普通になっている。いざMNPしようとすると、2年縛りの違約金よりこっちの方がずっと負担が大きい。買う側に問題が無いとは言えないし、商売として間違っているとも言い切れない。ただこんな事をしていたら低価格な端末なんて人気が出るわけも無いし、ユーザーも必要性を考えたりしない。iPhoneかツートップ買ってりゃいいやになる。思考の停止だ。今9万円の端末を分割で契約して、1年後の2015年に端末そのままで他キャリアに移ろうとして、端末代45000円残ってますので精算して下さいじゃ、誰もポートアウトしない。

結局の所だらだら1つのキャリアで機種変更を繰り返しているユーザーは、端末のSIMロック解除が義務づけられた所で流動性が上がったりはしない。MVNOへのシフトが進む可能性は上がるかもしれないが、端末代金の課題は残る。まぁ中古端末の流動性は上がるでしょうね、グローバル端末だとau向けでもW-CDMA掴めたりしますし。

後気になるのは、周波数帯と3Gの通信方式の問題でauがかなり不利になる可能性が高い事。ドコモかSBMの端末をSIMロック解除してauに持ち込んでも、狭いバンド1のLTEしか使えないし基本3Gは掴めない。通話に関しては2015年なら確実にVoLTEは立ち上がっているとは思いますが、2015年の段階じゃ端末側の対応もしれています。田中プロがどう立ち回るのかはちょっと楽しみですが。後EMOBILEやauがタブレット端末でやっているSIM側が特定端末でしかパケット通信できない利用制限をどうするのか、という辺りも課題かな、と。まぁ指定端末以外では料金が上がるで丸め込みそうですがね。

結局の所、分かっている人だけメリットを享受でき、キャリアショップの仕事はますます増えて苦情も増える、そうなるのがオチかなと。

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