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2014年7月 6日 (日)

2015年のWiMAX帯域削減で何が起きるのかという事

今頃になってWiMAX2+の契約をどうしようか迷ってる中の人です。いやauのスマホ契約のSIMだとHSモードでも7GBの制限対象になるようになってしまったものでw。

それはそうと、2015年に予定されているWiMAXの帯域削減が一部で話題になりつつあります。公開資料では2015年に現在30MHz幅(10MHz×3)を10MHz幅に削減して20MHz幅をWiMAX2+に受渡し、2018年にはWiMAXは完全に停波が予定されていて、WiMAX2+に完全移行予定です。この情報を元に2015年からWiMAXにも総量制限が加わるとか、WiMAXのエリアが狭くなるとかいう話題が出ているようです。

まず7GB/月といった総量制限ですが、少なくとも2015年に開始される事は無いでしょう。そんな公開資料はどこにもありません。後2年契約のWiMAXも一部MVNOから販売継続中なので、これも1つの根拠になるでしょう。確かに2015年にWiMAXは現在の10MHz幅×3から10MHz×1に帯域が削減されます。受信最大40Mbpsという仕様は変わりませんが、収容力は下がります。もっともそこまでにUQは相当数のユーザーをその時点ではまだ総量制限の無いWiMAX2+に移行させる腹づもりの筈ですから、WiMAXのスループットが単純に今の1/3になるなんて事はまぁ無いでしょう。

またWiMAXがWiMAX2+に帯域を明け渡すのは至極当然です。WiMAX2+の方が周波数利用効率が良いですから、ノーリミットを提供するにしてもWiMAX2+にした方が現実的なのです。20MHz幅を基準にすると現行ではWiMAXが受信最大80Mbps(40Mbps×2)、WiMAX2+が110Mbpsとまだ1.4倍程度しか効率は上がりませんが、20Mbps幅をまとめて使う点まで考慮すれば実質1.5倍程度の効率向上はあるでしょう。WiMAXだと混んでる周波数と混んでいない周波数が発生する可能性がありますが、WiMAX2+ならこれは無い訳です。

WiMAX2+はさらに4x4MIMOの投入で20MHz幅で最大220Mbpsまで速度を上げます。予定では2014年中。4x4MIMOは当面据え置きルーターに限定されると思いますが(アンテナもデコード/エンコード回路も倍必要で、演算も複雑になりバッテリー消費が大きくなる)、トラフィックの大きい固定代替の周波数利用効率を上げられます。2015年にWiMAXから20MHz幅が委譲されれば4x4MIMOの固定代替で受信最大440Mbps、2x2MIMOのモバイルで受信最大220Mbpsが実現可能となり、WiMAXを延命するよりもずっと周波数利用効率を上げられます。その上でノーリミットをどうやって継続するかを考える、この方がキャリアもユーザーも幸せになれる筈なわけです。

後エリアに関しても大きな変化は無いでしょう。WiMAXでも3セクター基地局が導入されている事で誤解を生んでいるようです。セルラー配置の基本は最低限3つの周波数を繰り返して基地局配置して同じ周波数が重ならないようにするのが本来の姿で、マルチセクターでも基本的な考え方は同じです。ただこの原則は干渉対策が貧弱だったアナログやPDC世代の話。

WiMAXに限らずLTEでも1つの基地局で同じ周波数を使って隣接する基地局の設置やマルチセクター化するのが基本です。そうでないと所有する周波数帯当りの基地局スループットが上がりません。総務省が公開している2009年のUQ WiMAXの資料にも「10MHz毎で面的展開」「10MHz×2で基地局容量を向上」と記載されています。これようするに同一周波数だけでエリア展開します、1つの基地局で2波使って速度を出します、な訳です。この資料の時点では10MHz幅×1は屋内超小型基地局向けだったので、まだ屋外は10MHz幅×2しか使えない前提ですね。

WiMAXやLTEはチャンネル当りの周波数幅をできるだけ広くとる事で最大通信速度を向上させていますが、セクタ間干渉や基地局間干渉のある場所に端末が居る時だけ周波数を分割利用する事で干渉を抑える仕組み(FFR)が入っています。干渉のある部分に端末が居なければ干渉なんて無視して周波数全体を使っても問題は出ないわけです。なので現状の10MHz幅×3が10MHz幅×1になってもカバーエリアは原則変わらないわけです。実際にUQの基地局構成を知っているわけではないのでカバーエリアが全く変わらないとは断言しませんけども。そもそも現状WiMAX2+は20MHz幅×1で面展開してるわけですし。

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